※一部ネタバレを含む箇所があります。ご了承の上、お読みください。
各方面で話題になっている映画「初恋」を見てきました。
「凄い。ベッキー凄い」の一言に尽きる。まさにベッキーのために作られた映画だった。
そもそも映画には疎いあたしだけど、三池監督はそれほど評価していなかった。というのも村上龍の「オーディション」を三池監督が映像化した際に失望をしてしまったのだ。女の執着心やストーカー的な恐怖の描写が素晴らしかった原作だったが、映画版は安っぽいホラー仕立てで「キリキリキリ 痛いでしょう」などと余計なセリフまでついていた。世界的には評価された映画版「オーディション」だったが、原作を愛する故にどうしても映画版を愛せない、という悪い癖が出てしまったのだ。
その後、何本か三池映画を見ていたが、グッと来たのが「悪の教典」だった。ひたすら殺人描写。しかも被害者が高校生ばかり。ああ、三池監督の良さはこういうエグい作品で光るんだなと納得した。ついでに言えばライフルに刺又一本で立ち向かう山田孝之の間抜けな姿が素晴らしく、好きな生徒のパンツを嗅いで死ぬというあまりの情けなさがとても愛おしかった。
そんな三池監督の新作「初恋」、どんなものだろうと見てみたらエンタメ映画としては傑作だった。
石原さとみのような雰囲気のあるヒロインに正統派俳優の窪田正孝の純愛、そしてヤクザvsチャイニーズマフィアの見事なアクション、メリハリの効いた起承転結。実写映画という枠に囚われない演出。次々とストーリーが急展開を迎えて飽きさせない。
でもね、そんなものはどうでもいいの、結局。
もうとにっかくベッキーが凄いの。
「私も殺すけど、皆もぶっ殺して!!!」
愛する男を殺されたベッキーが怒り狂い、泣き叫び、バールを振り回し、サーベルで斬る。もうとにかく終始狂っちゃってるのだ。
「勝手に死んでるんじゃねーよ!!!!」と彼女は劇中で吠える。
https://twitter.com/hatsukoi2020/status/1231881456131198976?s=20
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かつては好感度の高いタレントとして一世風靡をしたベッキー。有吉に「元気の押し売り」というあだ名をつけられた程だった。
しかし文春砲によりその評判が地に落ちたのは記憶に新しい。
そんなベッキーに三池監督はジュリを演じさせることによってまた女優としての命を吹き込んだのだ。
< 勝手に死んでんじゃねーよ💥
— 映画『初恋』公式 (@hatsukoi2020) February 24, 2020
┏━━━━━━━━━━┓
⚡️𝑪𝑯𝑨𝑹𝑨𝑪𝑻𝑬𝑹💘
≫ ジュリ / #ベッキー
復讐に燃える女
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世界中の映画ファンを虜にする#三池崇史 監督“初”のラブストーリー💗
🎬『#初恋』2/28(金)公開 pic.twitter.com/Z6d3urHiML
ジュリは本当に凄い。
ヤク中の娼婦を罵り、体当たりで窓を破って部屋から逃げ、床にバールを打ち付けながら敵の前に登場する。仕舞には自分の陰部をまさぐり、その愛液を敵に見せつける。
その姿は「氷の微笑」で脚を組み替えるシャロンストーンのように、そして「バベル」で陰毛を見せつける菊地凛子のように淫靡で、でも「千と千尋の神隠し」で坊に「血!血!」と手を見せつける千のような必死さもあった。
汚れ役もいいところだ。
ベッキーのそんな姿を見ることになろうとは誰が思うだろうか。
失うものがもうなくなった女しかこんな役は演じられない。
決して演技が上手いわけではない。
セリフの読み方は残念ながら不自然さが残る。
しかし夏木マリや土屋アンナにも共通するあっけらかんとした狂気がベッキーに宿った気がした。
ひたすら叫び、暴れる。その姿を自然と応援してしまう
隠しきれなくなった狂気を開き直って全開にしてしまったベッキー。
ベッキーがこの役を務めたからこそ、この映画は傑作となった。窪田君の初恋エピソードなんておまけでしかないよ。(でも死を覚悟した窪田君が生に執着する姿は良かったけど)
そしてもう残念ながらあたしたちはベッキーを愛せずにはいられなくなってしまった。
「パラサイト」も「ミッドサマー」も良いけど、この「初恋」もおすすめ。もうぜひベッキーの雄姿をご覧頂きたい。
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