夏が始まった。

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何も考えずにバイトのシフトを組んでしまったんだけど、工場 + 日雇い×3日 + 工場×2日 という6連勤が組み上がってしまっていた。いやぁ、地獄も地獄。
その日雇いって言うのがうちから1時間半の距離にあって、交通費は出してくれるので別位にいいんだけど、7時半集合だから4時半に起きなきゃいけなかった。人は寝ないと死ぬんだなあとうっすら思いながら毎日必死に起きて出勤した。疲れが着実に蓄積された。陽に晒されながら汗を流して誘導をした。マイクをもって著名人の元に走って向かった。買い出しを4回もさせられた。ひたすら過酷なバイトだった。

そんな時にひたすら思ったのが「プールに入りたい」ってことだった。浮きたい。とにかく水に浮きたかった。

だから今朝はちょっと事務作業をして、でも気付いたら1時回ってて、焦って家を出た。自転車に飛び乗り、ひたすらペダルを漕ぐ。暑い。でも今暑ければ暑いほど、快楽が待っていると思って我慢した。プールがあたしを待っている。

工事をしている現場を通り過ぎた時、ふと「かなえちゃん!」と声を掛けられた。仕事中のDJ MHA君だった。「えー!」って焦りながら応答すると「どっかいくの?プール?」と聞かれて、焦りながらも笑ってそうだよと答えた。下町はみんなプールが好きだ。

普段は迷ってしまうような入り組んだ道を飛ばす。距離にして3km。遠くはないが、近くもない。でも汗が滴れば滴るほど、期待が高まる。そうして息を切らしながらプールにたどり着いた。

入場券を購入し、さっさと着替えてプールに向かうと、ノンケの友達がいて嬉しくなる。40過ぎ、身体にはタトゥ、まだ7月なのにすでにまっくろなえいじくん。どうしようもないんだけど、そのどうしようもなさが癖になる。

さっそくプールに入った。気持ちが良い。重力から解放される。冷たい水が心地よく体温を奪っていく。それを太陽の光がフォローするように照り付ける。水に浮いてるだけで幸せになる。

子供の頃は泳ぐのが本当に嫌いだった。
1歳で水泳を始めた。8歳くらいになると既に才能がタイムという形に表れていたんだけど、あたしは落第組だった。10歳になると速い子は選手コースに入れられ、ジュニアオリンピックを目指して練習した。その端っこで落第組としてあたしも練習していた。「あと4km」明るい未来も見えないのになんでこんなに泳がなきゃいけないんだろうといつも悲しかった。

30過ぎると泳ぐことをさぼっていてもさすがに誰からも咎められない。好きなだけ浮いた。太陽の日差しを浴びて、顔だけを水面にだして、たっぷり呼吸をした。足は沈んでしまうが、水に身を任せてただ浮いていた。本当に気持ちが良かった。

鼻をつまみ、水面に潜る。ゴーグルを通して見る水中の世界はほんとうに青くて綺麗だ。ふと水面を見上げたら、太陽の光で紫に染まって気泡と波紋のせいでキラキラと光っていた。あたしはこれが見たかった。

泳いだのは正味200mくらい。でも体がほぐれた。その感覚が好きで水の中でヨガをした。祈りのツイスト、椅子のポーズ、他にも色々。体と心が楽になる。幸せだった。

プールサイドにあがり、寝ているえいじくんとどうでもいい話をするのも楽しかった。金がないという話ばっかり延々と続く。そのどうしようもなさの心地よさよ。本当はずっとプールにいたかったけど、まだ7月も前半。3時を過ぎると冷えてくるので泣く泣く上がった。

さっきまでの気持ちの良さが嘘だったかのように湿度と気温に体を攻撃をされ、沢の湧水のように汗を滴らせながら必死に自転車を漕いで帰った。でもなんとなく気持ちの良い暑さだった。

今年も短い夏が始まった。

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